オンライン授業を進めるやり方は様々ですが、zoomやmeetといったWeb会議システムを用いた双方向でリアルタイムに授業をする環境がまだ十分整っていない場合、まずは、学校が学習動画や教材を作ってネット上に配信し、それを児童が家庭からいつでも閲覧できるようにする、いわゆる「オンデマンド型」のオンライン学習を進めるのが一般的です。
この「オンデマンド型」用の授業動画を作成する方法も様々あり、凝ろうと思えばいくらでも凝ることができます。しかし大切なのは動画を通していかに効果的に学習内容を伝えることができるかであり、極端な話をすれば、先生が黒板を使って授業をするのをビデオカメラで撮って流すだけでも、進め方が上手であれば実現は可能です。
ただ、一般的には文字や画像、映像、そして音源といった様々なメディアを活用した「視覚・聴覚情報」を多用した方が、より子供達を引きつけられる動画に仕上げることができます。このような動画の作成を検討する際に、最も簡単でオススメなのが、「パワーポイント」を使った動画作りです。Microsoft社のプレゼンテーションソフトであるパワーポイントは、会議などでスライドを再生してプレゼンテーションをする際に用いるのが一般的ですが、スライドを再生するタイミングや話す人の声を記録し、動画ファイルを作成する機能も備えています。この機能を活用し、教師が作成した学習スライドを自ら説明する声を入れながら再生し、その様子を記録して授業動画を作成するのです。
※2020年8月現在、オンラインでの授業を小中学校の授業時数にカウントすることはまだ認められていません。従って、自宅でのインターネットを活用した学びは「オンライン学習」と呼ぶのが正しいのですが、一般的には「オンライン授業」と呼ばれていること、また将来我々教師の努力が認められ、そうなることを期待し、本HPでは「オンライン授業」と呼ぶことにしました。
【学習動画をパワポでつくる際に必要なもの】
<必ず必要なもの>
・マイク、フロント(自撮り)カメラが付いていて、Powerpointがインストールされているパソコン
<作る内容によって必要となるもの>
・音源ファイル(拡張子がmp3,m4a,wav,wma等のもの)
・写真やイラスト、動画のファイル
・タブレット端末で書き込めるペン(スタイラスペン)
<作成の手順>
1.授業の流れを構想し、スライド配置を考える。
→下図のような表を作成し、授業動画全体の流れの検討をつける。
2.授業の各部分のスライドを作る。
【作成のヒント】
・ところどころに関連するイラストや写真を貼り付ける。
・歌詞スライドには、1番の歌詞(歌詞の最初のスライド) に音源ファイルを貼り付け、再生のタイミング(クリック で再生、自動再生)の設定をしておく。
・(必要に応じて)「画面切り替え」や「アニメーション」でスライド間の移り変わりの演出や、イラスト・写真の出入りの動作の演出を設定する。
・(必要に応じて)スタイラスペンが使える場合は、描画ツールで説明する部分(ここでは楽譜)を作っておく。(書き込み用の画像やPDFを貼り付けておいても可)
3.「スライドショー」でスライドの動きをチェックし、セリフのリハーサルをする。
・各スライドで言うセリフや、スライド間を移動したり文字や画像・イラストなどを動かしたりするタイミング等をチェックする。(スライド下部に表示される「ノートを入力」の部分におよそのセリフを入力し、練習しておく。)
4.「スライドショーの記録」でスライドの動きやセリフを記録する。
【スライドショーの設定画面と記録画面】
・左写真「スライドショーを記録」ボタンを押すと、右写真の記録画面に移動する。
・左上の「記録」ボタンを押すと表示されているスライドの動きと、マイクやカメラからの音や映像が記録されていく。(自分でクリックして好きなタイミングでスライドを動かしていく)
・スライドの動きやセリフを間違えた時は、「停止ボタン」を押し、右上の「クリア」ボタンを押して直す範囲を指定することで、全体やスライドごとのやり直しができる。
・必要に応じて、下部中央に表示される「ペン機能」を使ってスライドにスタイラスペンで直接書き込んで説明したり、右下に表示されるカメラ機能をONにして、自分の表情を映したりしながら授業を進めていく。
【録音や録画がうまく出来ないときは!!】
→右上の設定できちんとカメラやマイクが設定されているか確認する。
→貼り付けた音源や映像ファイルを再生しながらマイクで声を記録する時は、ヘッドフォンをして行うと、二重録音を防げます。
5.映像ファイルとして書き出す
①左上の「ファイル」タブを選択し、左側のメニューから「エクスポート」、選択肢から「ビデオの作成」を選ぶ。
②中央のプルダウンメニューから、画面の大きさ(フルHD、HD、標準等)を選ぶ。また、その下のプルダウンが「記録されたタイミングとナレーションを使用する」に設定されているか確認し、「ビデオの作成」をクリックする。
③「名前を付けて保存」のウィンドウが表示されるので、適当なファイル名をつけて保存ボタンを押す。
※動画ファイルの作成には、多少時間がかかります。
※映像化する場合、ネット上にアップロードするための画質やファイルサイズを考えると 画面の大きさは「HD(1200*720p)」が最適です。 これでオンライン学習用の動画はできあがります。ただ、時間が長い場合、さらに動画ファイルのサイズをしないと、再生したときにカクカクする場合があります。
その場合、「エンコード」という作業を別なファイルを使って行う必要があります。
<参照> ※近日公開予定
【オンライン対策②】「Handbrake」を使って学習動画を最適なサイズにエンコードする
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