音楽科授業のユニバーサルデザイン化

①音楽の授業を「ユニバーサルデザイン化する」とは?

 

 児童は様々な聴覚的特徴や音楽的な感覚をもち、日々生活している。それらは身体的、精神的といった児童の内的な要因によるもの、または家庭の音環境や音楽に対する価値観といった外的要因によって形成されるものなど様々である。しかし、それらに個別に対応し、個々が感じる様々な障壁を取り除くよう配慮して授業を行うこと(=授業のバリアフリー化をすること)は、現在の音楽科の少ない授業時数の中では困難であるといえる。

 そこで、このように児童のおかれる環境が多様化する中においては、初めから学び難さのある児童がいる、という前提のもと、ある程度の個別的な支援や配慮を、最初から学級全員に向けて行う(=ユニバーサルデザイン化する)という発想が重要となってくる。多様な手立てを講じ、「◯◯しやすさ」を追求する授業デザインや学習環境を構築することで、結果的にすべての児童にとって分かりやすい授業になることが、この「授業のユニバーサルデザイン化」の究極の目的であるといえる。

 しかしながら、これら授業をわかりやすくするための様々な取り組みは、今に始まったことではなく、先達によって様々な実践が行われ、我々が模範としてきたことである。ただ、今までそれらは授業を改善するための個々の手立てとしてしか捉えられず、目的となる概念を有して系統建てて論じられることはなかったように思う。今回この「授業のユニバーサルデザイン化」に向け、自分の実践をまとめていくことによって、先達が築き上げてきた実践の一つ一つが少しでも整理・統合され、さらにICTといった先進の教育技術を取り入れることで、より進化した、次世代に引き継げるものになることを目指していきたい。

 

別な観点から見た、音楽の授業をユニバーサルデザイン化する意義

 

 我々は日頃、たくさんの音に囲まれて生活しているが、意識してある音に耳を傾けるという行為をすることはあまりない。音楽の授業では、まさにこの「音に耳を傾ける」(=聴く)という行為が学習活動の中心をなすわけだが、普段使っている他の感覚(視覚、嗅覚、触覚等)に比べると音の刺激は弱く、より集中して音を「聴く」ためには、他の感覚を刺激する要因をできるだけ遠ざける必要がある。様々な刺激を取り除き、音の刺激に集中するという観点からも、音楽の授業をユニバーサルデザイン化することには意義があると考えられる。

 

③授業をユニバーサルデザイン化するための5つの視点

→本実践の取り組みは、すべてこの5つの視点のいずれかに基づいている。

 

すっきり…余分な刺激の排除、合理的なものの配置など、学習に集中できる環境づくりをする。

はっきり…学習目標を明示したり、発問や指示、表示は分かりやすく端的にしたりする等、何をするのか整理して伝える。

みえる化…ビジュアルシンカーに配慮し、ICT等を活用しながら、目からも理解できるような表示方法にする。

つながり…授業の流れ、教材、楽器の扱い方などを全学年で共通化し、慣れたもので安心して学習に集中できるようにする。

学び合い…主体性を引き出し、互いを認め合い、心から表現し合える雰囲気づくりを行う。

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授業のハード面の視点から

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授業のソフト面の視点から