・6年鑑賞_タブレットを使った「木星」の鑑賞①授業立案の経緯

 

従来、小中学校における鑑賞の授業は、「一斉に音楽を聴く」という授業スタイルを中心に行われてきました。

今回の授業の立案に先立ち、一般的に行われている「一斉授業型」の鑑賞授業における課題点を考えてみることにしました。

 

・時間的、場所的な制約から、音楽活動(音楽を聴く)をしながら児童が主体的に話し合う活動が難しい。

 

…「音楽を聴く」という行為は、個人的な音楽活動を原点としています。従って、鑑賞の授業においては、聴いた楽曲について意見交換を行う場合、必ず、「全員で音楽を聴くことに集中し、思考する時間」と「話し合いを行う時間」を切り離して行う必要があり、多くの時間を費やすこととなります。(音楽を聴きながら意見を出し合うことはできますが、他の児童生徒の鑑賞の妨げになる場合があります。)また、一斉授業の場合、提示された楽曲が教師からの一方的な提案によるものと児童生徒が感じてしまうと、授業全体が受動的なものになり、楽曲に対する関心意欲が十分に喚起されないことがあります。

 

・一斉に音楽を聴くため、個人のペースで思考のために音楽を止めたり、気に入った部分や、よく聴いてみたいところを繰り返して聴いたりすることができない。

 

…一斉授業において、鑑賞曲の再生を支配するのは「教師」です。教師の思惑で曲の全部を聴いたり、一部を抜き出したりするので、そこには、児童生徒の「あの部分をもっと聴いてみたい」「もう一度聴いてみたい」という願いはもみ消されてしまうことになり、そこに主体性は生まれません。

 

③時間的な制約から、演奏時間が長い楽曲や、いくつもの曲を聴きながら思考する活動がしづらい。

 

…授業は45分間(50分間)であるので、その時間にせまる長さの楽曲やそれ以上の長さの楽曲は、自ずと鑑賞の選択から除外されてきました。また、いくつもの楽曲を用いて聴き比べながら鑑賞する、といったことも、同様に時間がかかるためあまり行われてはきませんでした。(児童生徒が音楽を聴き続けられる限界時間を超える、ということも理由の一つですが…)

 

④「言語活動」が中心な授業に陥りやすい。

 

…楽曲についての理解を深めようとするあまり、ワークシート等での考えの文字化や話し合い活動に時間を使いすぎ、音楽活動が停滞してしまう授業をよく見かけてきた。

 

 

上記のような、今までの鑑賞授業における課題点を克服するために、また、主体性に乏しく、言語表現が苦手な児童でも、鑑賞活動を楽しみ、思いを表現できるようにするために、ICT機器(タブレット端末)を鑑賞授業に導入することによって、どのような効果が得られるのかを検証したのが本授業です。授業を立案するに当たっては、下記のような課題意識を常に念頭におき、取り組んでいくこととしました。

 

 

①鑑賞領域の学習活動において、「音楽活動」を進める中で、いかに主体的、対話的で深い学びを成立させるか。

 

…鑑賞という音楽活動を中心に展開しながらも、言語活動を活性化し、音楽活動と言語活動の往還を進める中で、互いの考えの交流しながら、いかに音楽的な深い学びを実現させていくか。

 

②鑑賞の授業で、いかに学習が深まった児童の姿を想定しながら、指導計画を立案するか。

 

…授業を行って児童が変容し、学習によって高まった姿を見通しながら授業を構築していくことは、教師として経験を積む中で少しずつ実現していくべきものであり、経験を重ねる程、その思い描く姿の輪郭をはっきりさせていくべきである。

 

③鑑賞の授業でアクティブ・ラーニングを実現するために、どのようにICT機器を活用するか。

 

…ICT機器がもつポテンシャル(再生機能やコミュニケーション機能等)を最大限発揮し、児童生徒が音楽を鑑賞しながら、思考判断したことを他人と協働しながらいかに課題解決に結びつけていくかを考える。

 

→「タブレットを使った「木星」の鑑賞②授業内容1時間目」へ進む

 

 

 

Facebook でシェア
Twitter でシェア
Please reload

© 2019  TAKAHIRO KONASHI